住まいの備え
「居住サポート住宅」とは?改正住宅セーフティネット法(2025年10月施行)と、親なきあとの「住まい」の備え・大阪の相談窓口
2025年10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法で、見守りや福祉サービスへのつなぎが付いた民間賃貸住宅「居住サポート住宅」の認定制度が始まりました。障がいのあるお子さんが親なきあとに一人で暮らすときの「住まい」にどう関わるのかを、国土交通省・厚生労働省・大阪府・大阪市の案内に基づいて説明し、大阪での相談窓口と今できることを整理します。
親なきあとの「住まい」と、民間賃貸住宅の壁
大阪府の案内では、高齢者や障がい者、低額所得者などは民間賃貸住宅で入居制限を受けることがあり、適切な住まいを確保しにくい場合があると説明されています。こうした方々は、住宅セーフティネット法で「住宅確保要配慮者」と呼ばれ、同じ案内では高齢者や障がい者、低額所得者、子育て世帯、外国人等が挙げられています。 [5]
厚生労働省が社会保障審議会障害者部会(2025年9月25日)に出した参考資料では、大家が要配慮者への賃貸に不安(孤独死、残置物、家賃滞納、近隣住民とのトラブルなど)を抱えていることなどが、改正の背景として示されています。 [2]
何が変わったか:2024年成立・2025年10月1日施行の改正
根拠となるのは「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律」(令和6年法律第43号)です。国土交通省の案内では公布日は2024年(令和6年)6月5日、施行日は2025年(令和7年)10月1日(準備行為は2025年7月1日から)とされています。厚生労働省の参考資料では、成立日は2024年5月30日と記載されています。 [1] [2]
国土交通省のリーフレットでは、改正の内容が次の4つのポイントにまとめられています。 [4]
1. 終身建物賃貸借の手続の簡素化
終身建物賃貸借は、借りている人が亡くなったときに終了し、相続されない賃貸借です。事業者の認可手続が簡素化され、既存住宅の床面積基準も緩和されました。なお、リーフレットでは、対象は本人が60歳以上で、単身の方、または配偶者か60歳以上の親族と同居している方とされています。
2. 居住支援法人の業務に「残置物処理」を追加
入居者からの委託に基づいて、亡くなった後に部屋に残った物(残置物)を処理する業務が、居住支援法人の業務に加わりました。残置物は廃棄するものと、事前に決めた送付先へ送るものなどに整理し、国土交通省・法務省が2021年度に作ったモデル契約条項を活用するとされています。
3. 家賃債務保証業者の認定制度
国土交通大臣が「認定家賃債務保証業者」を認定します。認定業者は、居住サポート住宅の要配慮者について、正当な理由なく家賃債務保証を断らないことなどが求められ、緊急連絡先を法人にすることもできるとされています。
4. 「居住サポート住宅」の創設
居住支援法人等が大家と連携し、入居中のサポートを行う住宅です。詳しくは次の章で説明します。
「居住サポート住宅」のしくみ
厚生労働省の案内では、居住サポート住宅は「改正住宅セーフティネット法に基づき、住宅確保要配慮者に見守り等の入居中のサポート提供を行う住宅」で、法律上は「居住安定援助賃貸住宅」と呼ばれます。対象となる住宅確保要配慮者には、低額所得者、高齢者、障害者や子育て世帯などが含まれます。大家と居住支援法人等が連携して、次の3つのサポートを行います。 [3]
- 日常の安否確認(ICT等による確認を含む)
- 訪問等による見守り
- 生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎ
居住サポート住宅事業の計画は、市区町村長等(福祉事務所を設置している自治体の長)が認定します。サポートを必要とする要配慮者が民間賃貸住宅へ円滑に入居し、居住の安定を図ることが目的とされています。 [3]
厚生労働省の参考資料では、サポートを担う主体は居住支援法人のほか、社会福祉法人、NPO法人、管理会社等も担えるとされています。福祉サービスへの「つなぎ先」としては、自立相談支援機関、福祉事務所、高齢者福祉の相談窓口、母子・父子自立支援員と並んで障害者福祉の相談窓口が挙げられ、障害者向けにはホームヘルプ、居宅介護、自立生活援助、就労支援などがつなぎ先の例として示されています。また、入居者が生活保護を受けている場合は、住宅扶助費(家賃)の代理納付が原則となります。 [2]
大阪府・大阪市の窓口と支援
大阪府の案内では、居住支援法人は大阪府知事の指定を受けた法人で、登録住宅等への入居に関する情報提供や相談、見守りなどの生活支援を行うとされ、2026年5月31日時点で216法人が指定されています(業務エリア別・支援内容別の一覧が公開されています)。居住サポート住宅の事業計画の認定は、福祉事務所を設置している自治体の長が行うと記載されています。また、大阪府下の居住支援協議会として「Osakaあんしん住まい推進協議会」があり、相談窓口や入居可能な住宅、支援制度の情報を提供しています。 [5]
大阪市は、高齢者や障がい者等の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居促進を目的に、2026年6月29日に不動産関係団体や福祉関係団体等と連携して「大阪市居住支援協議会」を設置しました。住宅施策と福祉施策が連携して、住まいに困難を抱える方の課題解決をめざすとされています。事務局の問合せ先は、大阪市福祉局(自立支援課)と都市整備局(安心居住課)で、ページに記載されています。 [6]
大阪市には、改正前から障がいのある方向けの「大阪市住宅入居等支援事業」があります。保証人がいないなどの理由で賃貸住宅への入居が難しい障がいのある方に、不動産業者への物件あっせん依頼、物件探しへの同行、家主等との契約手続の支援、引っ越しの支援などの入居支援と、関係機関によるサポート体制の調整(入居前後に家主等への相談・助言を行うことを含む)を行う事業で、利用料は無料です。対象は、賃貸契約による一般住宅への入居を希望しているが入居が困難な障がいのある方で、大阪市内に住んでいる方のほか、大阪市内への居住を希望する方も含まれます(地域移行支援を受けている方は除く)。相談窓口は、各区の障がい者基幹相談支援センターと、各地域活動支援センター(生活支援型)です。 [7]
知っておきたい注意点(未確認の点を含む)
- 認定された住宅の数・場所は未確認です。居住サポート住宅の認定制度は2025年10月に始まったばかりで、大阪市内にどれだけの認定住宅があるかは、本記事では確認できていません。実際の物件は「居住サポート住宅情報提供システム」や、上記の協議会・相談窓口で確認してください。
- 家賃・サポート費用は物件ごとに異なります。本記事で参照した国・自治体の資料には、入居者が負担する家賃やサポート費用の金額は記載されていません。費用は物件や事業者ごとに確認が必要です。
- 終身建物賃貸借の対象は60歳以上です。改正のポイント1の終身建物賃貸借は、リーフレットでは60歳以上の方が対象とされています。障がいのあるお子さんご本人の住まいとして使えるかどうかは、年齢や同居の状況によって変わります。
- 「入居できること」を保証する制度ではありません。居住サポート住宅も、大阪市住宅入居等支援事業も、入居に向けた支援や調整を行うものであり、希望する住宅に必ず入居できることを約束するものではありません。
親なきあとの住まいの備えで、今できること
以下は公的な事実ではなく、当事務所からの編集上の提案です。
- お子さんご本人が「どこで、誰と、どんなふうに暮らしたいか」を、まず本人の言葉で整理する。整理の仕方は 本人の希望と暮らしを整理する相談メモ の記事を参考にしてください
- 民間賃貸住宅での一人暮らしを選択肢に入れるなら、大阪市にお住まいの場合(大阪市内での居住を希望する場合を含む)は、区の障がい者基幹相談支援センターに「大阪市住宅入居等支援事業」について相談する。大阪市以外にお住まいの方は、お住まいの市町村の障がい福祉の窓口や居住支援協議会に相談する。あわせて、居住サポート住宅の認定物件が近くにあるかを情報提供システムで調べてみる
- 入居後の見守りは、居住サポート住宅のサポートだけに頼らず、日常のお金の管理を支える 日常生活自立支援事業(大阪市のあんしんさぽーと事業) や、必要に応じた成年後見制度(2026年改正の記事)と組み合わせて考える
- 親御さん自身の住まいについても、親なきあとに家をどうするか(お子さんが住み続けるのか、売却や賃貸に出すのか)を、遺言(遺言制度の見直しの記事)や民事信託の設計とあわせて早めに決めておく
参考情報・出典
- 国土交通省「住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律について」資料の日付:不明(ページに更新日の記載なし)。対象地域:全国。参照箇所:法律名・法律番号・公布日・施行日、居住サポート住宅情報提供システムの案内、掲載資料の一覧。取得・確認日:2026年10月28日。
- 厚生労働省 障害保健福祉部「住宅セーフティネット法等の改正について」(社会保障審議会障害者部会 第149回 参考資料7)資料の日付:2025年9月25日(部会の開催日)。対象地域:全国。参照箇所:改正の背景、成立・公布・施行日、改正の主な内容、居住サポート住宅の仕組み(認定主体・サポート主体・福祉サービスへのつなぎ先・生活保護の特例)。取得・確認日:2026年10月28日。
- 厚生労働省「居住サポート住宅情報提供システムの公開 ~10月1日より認定制度が始まります!~」資料の日付:2025年9月30日(報道発表日)。対象地域:全国。参照箇所:居住サポート住宅の定義・対象者・サポート内容・認定の仕組み、システムの公開日、認定制度の開始日。取得・確認日:2026年10月28日。
- 国土交通省「改正住宅セーフティネット法 令和7年10月施行」(概要リーフレット)資料の日付:不明(リーフレットに日付・版の記載なし)。対象地域:全国。参照箇所:改正の4つのポイント(終身建物賃貸借の対象と基準、残置物処理、認定家賃債務保証業者、居住サポート住宅)。取得・確認日:2026年10月28日。
- 大阪府「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給」資料の日付:2026年7月9日(ページ更新日)。対象地域:大阪府。参照箇所:住宅確保要配慮者の範囲、改正の柱、居住サポート住宅の認定主体、居住支援法人の指定と一覧(2026年5月31日時点216法人)、Osakaあんしん住まい推進協議会。取得・確認日:2026年10月28日。
- 大阪市「居住支援協議会について」資料の日付:2026年8月6日(ページに表示された日付。更新日との明示はなし)。対象地域:大阪市。参照箇所:大阪市居住支援協議会の設置目的・設置日、事務局の問合せ先。取得・確認日:2026年10月28日。
- 大阪市「大阪市住宅入居等支援事業」資料の日付:2026年3月16日(ページに表示された日付)。対象地域:大阪市。参照箇所:事業の目的、対象者、支援内容、利用料、相談窓口。取得・確認日:2026年10月28日。